KNOWLEDGE & PRACTICE

カスハラを知る。
対応の第一歩に。

お客様の声を大切にしながら、働く人の安心を守るために。
「何が起きたか」を整理し、組織で対応するための基本をまとめました。

LAW UPDATE / 確認日:2026年9月11日

2026年10月1日から、全国でカスハラ対策が義務化。

改正労働施策総合推進法により、企業規模を問わず、事業主にカスハラ防止のための雇用管理上の措置が義務付けられます。東京都内だけの制度ではありません。パート・有期雇用なども含め、雇用する労働者を守る体制が必要です。

厚生労働省:施行日・改正法と指針

東京都条例と、国の法律は別の制度です

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例は2025年4月1日施行。条例には罰則がありません。一方、2026年10月1日施行の国の法律では、企業の防止措置義務に加え、行政による指導・勧告、公表、報告義務違反に対する過料が定められています。

東京都:条例Q&A(PDF)

企業への「罰則」は、何をした場合に適用される?

  • 対策義務違反:行政の助言・指導・勧告の対象となります。措置義務違反そのものに直ちに罰金を科す規定ではありません。
  • 勧告に従わない場合:厚生労働大臣による勧告に従わなかった旨を公表できるとされています(改正後第42条)。
  • 報告をしない・虚偽報告:法に基づいて求められた報告をしない、または虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料の対象です(改正後第45条第1項・第51条)。過料は刑事罰の「罰金」とは異なります。

「対策未導入なら一律20万円」「カスハラが発生しただけで企業に罰金」という制度ではありません。

厚生労働省:2026年4月24日付運用通達・第3(PDF、26〜28ページ)

企業が整備する5つの領域

  1. 方針と対応ルール:従業員を守る方針、該当する言動と対処方法を定め、管理職を含めて周知する。
  2. 相談体制:窓口を周知し、担当者が適切に対応できるようにする。該当するか曖昧な相談も受け止める。
  3. 発生後の対応:迅速な事実確認、被害者の保護・フォロー、再発防止を行う。
  4. 悪質な行為への備え:対処方針と実行できる体制を整備する。サービス提供の制限等は、業法などの制約を踏まえる。
  5. 相談者等の保護:プライバシー保護と、相談・事実確認への協力等を理由とする不利益取扱いをしないことを定め、周知する。

正当な苦情や、障害に関する合理的配慮の申出そのものをカスハラ扱いしないことも大切です。

厚生労働省:カスタマーハラスメント防止指針・第4

晴らすくんで支援できること

状況の整理、対応記録、履歴の確認、マニュアル作成を支援します。アプリ導入だけで法令上の義務をすべて満たすわけではありません。相談窓口の運用、従業員への周知、被害者の保護などは、企業として実施する必要があります。

本ページは制度の一般的な解説です。個別の適用・対応は、最新の公式資料や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、専門家に確認してください。

01 / UNDERSTANDING

カスタマーハラスメントとは

東京都条例は、顧客等と就業者の関係、著しい迷惑行為、就業環境への影響という観点からカスタマー・ハラスメントを定義しています。

「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(2025年4月1日施行)。晴らすくんでは、次の3要素に沿ってAIが判断の手がかりを整理します。

要素 01

顧客等による業務に関する行為

顧客・取引先・施設利用者など「顧客等」の立場の者から、就業者に対してその業務に関して行われた行為であること

要素 02

著しい迷惑行為

暴行・脅迫・暴言などの違法行為のほか、正当な理由がない過度な要求、人格を否定する言動など、社会通念上相当な範囲を超える行為であること

要素 03

就業環境を害する

就業者の就業環境が害される(精神的・身体的な負担、業務への支障が生じる)ものであること

上司・同僚間の問題など、顧客等から就業者への行為以外は本システムの判定対象外です。対象外でも、困りごとは社内の相談窓口に共有してください。

02 / DRAWING THE LINE

苦情のすべてが、カスハラではありません。

商品の不具合やサービスの不備に対する正当な意見は、改善のきっかけになります。要求の内容に加え、その実現を求める手段・態様、経緯、就業環境への影響を確認します。

商品の交換・返金の要望

不良品の交換や契約内容の説明を求めること自体を、カスハラと決めつけないようにします。事実と自社の対応可能範囲を確認しましょう。

人格を傷つける発言・脅し

担当者の人格を繰り返し否定する、危害を加えると脅すなどの言動は、組織として確認・対応すべき事案です。実際の発言と影響を残します。

長時間・繰り返しの要求

説明後も同じ要求が続く場合は、対応時間・回数・説明内容を記録します。時間や回数だけで機械的に決めず、要求の根拠や経緯も確認します。

配慮が必要なコミュニケーション

障害等に伴う配慮の必要性や、説明が伝わっているかも確認します。相手の属性だけで判断せず、具体的な行為に着目します。

上記は考え方を理解するための例であり、個別事案の該当・非該当を確定するものではありません。

03 / FIRST RESPONSE

ひとりで抱えず、段階を踏んで対応する。

STEP 01

安全を確保する

暴力や差し迫った危険があるときは、AI判定を待たずに距離を取り、責任者や警察などの助けを求めてください。

STEP 02

事実と要求を確認する

発言や要求を落ち着いて確認し、分かっている事実と未確認の情報を分けます。自社に不備があれば、必要な説明や是正を検討します。

STEP 03

責任者・相談窓口と共有する

対応を担当者一人に任せず、交代や複数名での対応を検討します。対応の中断等は、自社の方針と個別の状況を踏まえて判断します。

STEP 04

対応後のフォローを行う

記録を保管し、担当者の負担や体調を確認します。再発防止のため、対応の経緯を振り返り、マニュアルや体制の見直しにつなげます。

04 / KEEP A RECORD

「印象」よりも「事実」を残しましょう。

怒っていた、怖かったという感覚とあわせて、次の情報を残すと状況を共有しやすくなります。

  • いつ・どこで・誰が対応したか
  • 相手が実際に言った言葉と求めたこと
  • 対応時間、繰り返しの回数、これまでの経緯
  • こちらが説明したこと・提案したこと
  • 業務や担当者に生じた具体的な影響
  • 同席者や録音など、確認に使える情報の有無

入力時は、不要な氏名・住所・連絡先などを伏せてください。録音・記録の取得や共有は、所属先のルールに沿って行いましょう。

状況を整理して判定する

05 / OFFICIAL RESOURCES

一次情報と相談先